ネイティブ実行可能ファイルの生成
このガイドでは以下をカバーしています:
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アプリケーションをネイティブ実行可能ファイルにコンパイル
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ネイティブ実行可能ファイルのコンテナへのパッケージング
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ネイティブ実行可能ファイルのデバッグ
このガイドは、入門ガイド で開発されたアプリケーションを入力としています。
GraalVM
ネイティブな実行可能ファイルをビルドするには、GraalVM のディストリビューションを使用する必要があります。ディストリビューションは3つあります。Oracle GraalVM Community Edition (CE)、Oracle GraalVM Enterprise Edition (EE)、そして Mandrel です。Oracle ディストリビューションと Mandrel ディストリビューションの違いは以下の通りです:
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Mandrelは、Oracle GraalVM CEのダウンストリームディストリビューションです。Mandrelの主な目的は、Quarkusをサポートするために特別に設計されたネイティブ実行可能ファイルを構築する方法を提供することです。
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Mandrel のリリースは、アップストリームのOracle GraalVM CEコードベースから派生したコードベースから構築されており、わずかな変更しか行われていませんが、Quarkusネイティブアプリには必要ない重要な除外事項がいくつかあります。これらのリリースは、Oracle GraalVM CEと同じ機能をサポートしており、機能に大きな変更はありません。特筆すべきは、多言語プログラミングのサポートが含まれていないことです。これらの除外の理由は、大多数のQuarkusユーザーにより良いレベルのサポートを提供するためです。また、これらの除外は、Oracle GraalVM CE/EEと比較して、Mandrelの配布サイズが大幅に縮小されていることを意味しています。
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Mandrelは、標準のOpenJDKプロジェクトを使用して、Oracle GraalVM CEとは少し違った形で構築されています。これは、Oracleが独自のGraalVMダウンロードを構築するために使用するOpenJDKのバージョンに追加したいくつかの小さな機能強化から利益を得られないことを意味します。アップストリームのOpenJDKはそれらを管理しておらず、保証することができないため、このような機能強化は省略されています。これは、規格適合性とセキュリティーに関しては特に重要です。
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Mandrelは現在のところ、Linuxのコンテナ化された環境をターゲットとしたネイティブ実行ファイルのビルドにのみ推奨されています。つまり、Mandrelユーザーは、コンテナを使用してネイティブ実行可能ファイルを構築することが推奨されます。macOS用のネイティブ実行ファイルをビルドする場合、Mandrelは現在そのプラットフォームをターゲットにしていないため、代わりにOracle GraalVMの使用を検討するべきです。ベアメタルのLinux上で直接ネイティブ実行可能ファイルをビルドすることも可能です。詳細は Mandrel README and Mandrel のリリースを参照してください。
前提条件
このガイドを完成させるには、以下が必要です:
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約15分
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IDE
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JDK 11+ がインストールされ、
JAVA_HOME
が適切に設定されていること -
Apache Maven 3.8.6
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動作するコンテナランタイム(Docker, Podman)
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使用したい場合は、 Quarkus CLI
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MandrelまたはGraalVMがインストールされ、 適切に設定されていること
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入門ガイド で開発したアプリケーションのコード。
C言語でのネイティブコンパイルのサポート
動作するC言語の開発環境があるとはどういう意味でしょうか?
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GraalVMの設定
GraalVMをインストールできない場合は、マルチステージのDockerビルドを使用して、GraalVMを含むDockerコンテナ内でMavenを実行することができます。このガイドの最後にこれを行う方法の説明があります。 |
バージョン22.3が必要です。コミュニティエディションで十分です。
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まだの場合は、GraalVM をインストールします。これにはいくつかのオプションがあります:
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https://github.com/graalvm/mandrel/releases または https://github.com/graalvm/graalvm-ce-builds/releases から適切なアーカイブをダウンロードし、他の JDK と同じように解凍します。
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ランタイム環境を構成します。
GRAALVM_HOME
環境変数をGraalVMインストールディレクトリに設定します。例えば:export GRAALVM_HOME=$HOME/Development/graalvm/
macOS (Mandrel ではサポート対象外) では、変数を
Home
のサブディレクトリに指定します:export GRAALVM_HOME=$HOME/Development/graalvm/Contents/Home/
Windowsでは、コントロールパネルから環境変数を設定する必要があります。
scoop でインストールすれば自動的に設定されます。
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(Oracle GraalVM CE/EE の場合のみ)
gu install
を使用してnative-image
ツールをインストールします。${GRAALVM_HOME}/bin/gu install native-image
GraalVMの以前のリリースでは、デフォルトで
native-image
ツールが含まれていました。現在はそのようになっておらず、GraalVM自体をインストールした後の第二ステップとしてインストールする必要があります。注意: macOS CatalinaでGraalVMを使用する 際に、未解決の問題が発生しています。 -
(オプション) 環境変数
JAVA_HOME
を GraalVM のインストールディレクトリに設定します。export JAVA_HOME=${GRAALVM_HOME}
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(オプション) GraalVM
bin
ディレクトリをパスに追加しますexport PATH=${GRAALVM_HOME}/bin:$PATH
macOS CatalinaでGraalVMを使用している場合の問題
この GraalVMの問題で報告されているように、GraalVMバイナリーは(まだ)macOS Catalinaに対して認証されていません。これは、
回避策として、次のコマンドを使用して、GraalVMインストールディレクトリ上の
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ソリューション
次のセクションの手順に従って、アプリケーションを段階的にパッケージ化することをお勧めします。しかしながら、完成したサンプルに直接進むこともできます。
Git リポジトリのクローンを作成: git clonehttps://github.com/quarkusio/quarkus-quickstarts.git
、または アーカイブ をダウンロードします。
ソリューションは getting-started
ディレクトリに存在します。
ネイティブ実行可能ファイルの生成
アプリケーションのネイティブ実行可能ファイルには、アプリケーション・コード、必要なライブラリ、Java API、および VM の縮小版が含まれます。VM ベースが小さくなることで、アプリケーションの起動時間が改善され、ディスクフットプリントが最小限に抑えられます。
前回のチュートリアルでアプリケーションを生成した場合は、 pom.xml
に以下の プロファイル があります:
<profiles>
<profile>
<id>native</id>
<properties>
<quarkus.package.type>native</quarkus.package.type>
</properties>
</profile>
</profiles>
もう一つの可能性は、 ネイティブイメージビルド処理の設定方法については、以下の ネイティブ実行可能ファイルの設定 の項で詳しく説明しています。 |
プロファイルを使用しているのは、すぐにわかると思いますが、ネイティブ実行可能ファイルをパッケージ化するのに 数分 かかるからです。コマンドラインのプロパティーとして -Dquarkus.package.type=native を渡すだけでもいいのですが、プロファイルを使う方がいいでしょう。
次のようにネイティブ実行可能ファイルの作成します:
quarkus build --native
./mvnw install -Dnative
./gradlew build -Dquarkus.package.type=native
Windows でのパッケージ化に関する問題
Visual Studio の Microsoft Native Tools はパッケージングを行う前に、初期化する必要があります。これは、Visual Studio ビルドツールと一緒にインストールされた もう一つのソリューションは、これを行うためのスクリプトを書くことです:
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通常のファイルに加えて、このビルドでは target/getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner
を生成します。これを実行するには、次のようにします: ./target/getting-started-1.0-SNAPSHOT-runner
.
Java プレビュー機能
プレビュー機能に依存する Java コードには、特別な注意が必要です。これは、ネイティブ実行可能ファイルを生成する場合、 |
完全に静的なネイティブ実行可能ファイルの作成
完全に静的なネイティブ実行可能ファイルのサポートは実験的なものです。 |
Linux では、システムの共有ライブラリに依存しないネイティブな実行ファイルをパッケー ジ化できます。満たすべき いくつかのシステム要件 と、 native-image
の呼び出しとともに使用する追加のビルド引数がありますが、最低限必要なのは -Dquarkus.native.additional-build-args="--static","--libc=musl"
です。
完全な静的バイナリのコンパイルは、 glibc
の代わりに musl を静的にリンクすることで行われます。厳密なテストなしに実運用で使用するべきではありません。
ネイティブ実行可能ファイルのテスト
ネイティブ実行可能ファイルを生成することはいくつかの問題を引き起こす可能性があるので、ネイティブファイルで実行されているアプリケーションに対していくつかのテストを実行することをお勧めします。その理由は テストのガイド で説明されています。
GreetingResourceIT
がネイティブ実行可能ファイルに対して実行されるのを確認するには、./mvnw verify -Pnative
を使用します:
$ ./mvnw verify -Pnative
...
[getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner:18820] universe: 587.26 ms
[getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner:18820] (parse): 2,247.59 ms
[getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner:18820] (inline): 1,985.70 ms
[getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner:18820] (compile): 14,922.77 ms
[getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner:18820] compile: 20,361.28 ms
[getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner:18820] image: 2,228.30 ms
[getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner:18820] write: 364.35 ms
[getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner:18820] [total]: 52,777.76 ms
[INFO]
[INFO] --- maven-failsafe-plugin:2.22.1:integration-test (default) @ getting-started ---
[INFO]
[INFO] -------------------------------------------------------
[INFO] T E S T S
[INFO] -------------------------------------------------------
[INFO] Running org.acme.quickstart.GreetingResourceIT
Executing [/data/home/gsmet/git/quarkus-quickstarts/getting-started/target/getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner, -Dquarkus.http.port=8081, -Dtest.url=http://localhost:8081, -Dquarkus.log.file.path=build/quarkus.log]
2019-04-15 11:33:20,348 INFO [io.quarkus] (main) Quarkus 999-SNAPSHOT started in 0.002s. Listening on: http://[::]:8081
2019-04-15 11:33:20,348 INFO [io.quarkus] (main) Installed features: [cdi, resteasy-reactive]
[INFO] Tests run: 2, Failures: 0, Errors: 0, Skipped: 0, Time elapsed: 1.387 s - in org.acme.quickstart.GreetingResourceIT
...
デフォルトでは、Quarkusはネイティブテストを開始し、自動的に失敗するまでに60秒待機します。この時間は、 |
この手順は、以前は |
プロファイル
デフォルトでは、インテグレーションテストは prod
プロファイルを使用して、ネイティブの実行ファイルに対して build と run の両方を行います。
quarkus.test.native-image-profile
プロパティを使用して、テスト中に実行ファイルが 実行 されるプロファイルを上書きすることができます。 application.properties
に追加するか、次のようにコマンドラインに追加してください: ./mvnw verify -Pnative -Dquarkus.test.native-image-profile=test
。あなたの %test.
プリフィックスプロパティは、テストの実行時に使用されます。
quarkus-profile=test
プロパティを使用すると、実行ファイルが ビルド されて 実行さ れるプロファイルを上書きできます (例: ./mvnw clean verify -Pnative -Dquarkus-profile=test
)。これは、テストデータをデータベースにインポートするような、テスト固有のリソースを処理する場合に便利でしょう。
quarkus.native.resources.includes=version.txt
%test.quarkus.native.resources.includes=version.txt,import-dev.sql
%test.quarkus.hibernate-orm.database.generation=drop-and-create
%test.quarkus.hibernate-orm.sql-load-script=import-dev.sql
上記の例を application.properties
に記述すると、Hibernate ORM が管理するデータベースには、JVM モードのテスト実行中とネイティブモードのテスト実行中の両方でテストデータが入力されることになります。本番用の実行ファイルには version.txt
リソースのみが含まれ、余分なテストデータは含まれません。
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Java プレビュー機能
Java プレビュー機能
プレビュー機能に依存する Java コードには、特別な注意が必要です。つまり、ネイティブ実行可能ファイルをテストする場合は、 |
ネイティブ実行可能ファイルとして実行している場合のテストの除外
この方法でテストを実行する場合、実際にネイティブで実行されるのはアプリケーションのエンドポイントのみで、HTTP 呼び出しでしかテストできません。テストコードは実際にはネイティブには実行されないので、HTTP エンドポイントを呼び出さないコードをテストしている場合は、それらをネイティブテストの一部として実行するのは良い考えではないでしょう。
上記のようにJVMとネイティブ実行でテストクラスを共有している場合、特定のテストをネイティブイメージに対してテストをするときに、@DisabledOnNativeImage
アノテーションを付けてそれらをスキップできます。
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既存のネイティブ実行可能ファイルのテスト
すでにビルドされているネイティブ実行可能ファイルに対してテストを再実行することも可能です。これを行うには ./mvnw test-compile failsafe:integration-test
を実行してください。これにより、既存のネイティブイメージが検出され、フェイルセーフを使用してそれに対してテストが実行されます。
何らかの理由でプロセスがネイティブイメージを見つけられない場合や、ターゲットディレクトリにないネイティブイメージをテストしたい場合は、 -Dnative.image.path=
システムプロパティーで実行ファイルを指定することができます。
GraalVM をインストールせずに Linux 実行可能ファイルを作成する方法
先に進む前に、コンテナランタイム(Docker、podman)の動作環境が整っていることを確認しておきましょう。WindowsでDockerを使用している場合は、Docker Desktopのファイル共有設定でプロジェクトのドライブを共有し、Docker Desktopを再起動する必要があります。 |
多くの場合、Quarkusアプリケーション用のネイティブLinux実行ファイルを作成する必要があります(例えば、コンテナ化された環境で実行するためなど)、このタスクを達成するために適切なGraalVMバージョンをインストールする手間を省きたいと考えています(例えば、CI環境では、できるだけ少ないソフトウェアをインストールするのが一般的です)。
このため、Quarkusでは、Dockerやpodmanなどのコンテナランタイムを利用して、ネイティブのLinux実行ファイルを作成する非常に便利な方法を提供しています。このタスクを達成する最も簡単な方法は、次を実行することです:
quarkus build --native --no-tests -Dquarkus.native.container-build=true
# The --no-tests flag is required only on Windows and macOS.
./mvnw install -Dnative -DskipTests -Dquarkus.native.container-build=true
./gradlew build -Dquarkus.package.type=native -Dquarkus.native.container-build=true
デフォルトでは、Quarkusはコンテナランタイムを自動的に検出します。コンテナランタイムを明示的に選択したい場合は、次のようにします: Docker の場合: コマンドラインインタフェース
Maven
Gradle
podman の場合: コマンドラインインタフェース
Maven
Gradle
これらは通常のQuarkusの設定プロパティーなので、常にコンテナでビルドしたい場合は、毎回指定しなくて済むように、 |
JARが正常にビルドされているにもかかわらず、コンテナビルドでネイティブ実行可能ファイルを作成しようとすると、アプリケーションJARに対して以下のようなinvalid pathエラーが表示される場合は、コンテナランタイムにリモートデーモンを使用している可能性があります。 Error: Invalid Path entry getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner.jar Caused by: java.nio.file.NoSuchFileException: /project/getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner.jar この場合、パラメータ その理由は、 |
Mandrel を使用してビルドするには、カスタムビルダーイメージパラメーターを追加で渡す必要があります: コマンドラインインタフェース
Maven
Gradle
上記のコマンドはイメージが更新されるフローティングタグを指していることに注意してください。ビルダーイメージを最新かつ安全に保つために、フローティングタグを使用することを強く推奨します。どうしても必要な場合は、特定のタグをハードコーディングしても構いませんが(利用可能なタグについては こちらを参照してください)、その方法ではセキュリティーアップデートが受けられず、サポートされていないことに注意してください。 |
コンテナの作成
コンテナイメージのエクステンションの使用
Quarkusアプリケーションからコンテナイメージを作成する最も簡単な方法は、コンテナイメージ エクステンションの1つを利用することです。
これらのエクステンションのいずれかが存在する場合、ネイティブ実行可能ファイル用のコンテナイメージを作成することは、基本的には単一のコマンドを実行することになります:
./mvnw package -Pnative -Dquarkus.native.container-build=true -Dquarkus.container-image.build=true
-
quarkus.native.container-build=true
では GraalVM がインストールされていなくても Linux の実行ファイルを作成することができます(ローカルに GraalVM がインストールされていない場合や、ローカルのオペレーティングシステムが Linux ではない場合にのみ必要です)。
リモートDockerデーモンを実行している場合、 詳しくは Linux亀甲可能ファイルをGraalVMをインストールせずに作成 を参照して下さい。 |
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quarkus.container-image.build=true
最終的なアプリケーションアーティファクト(この場合はネイティブ実行可能ファイル)を使用してコンテナイメージを作成するようにQuarkusに指示します。
詳細については、 コンテナイメージガイド を参照してください。
マイクロベースイメージを手動で使用する方法
Quarkus Mavenプラグインで生成されたJARを使用して、コンテナ内でアプリケーションを実行することができます。ただし、このセクションでは、生成されたネイティブ実行可能ファイルを使用してコンテナイメージを作成することに焦点を当てます。
ローカルの GraalVM インストール環境を使用する場合、ネイティブ実行可能ファイルは、ローカルのオペレーティングシステム (Linux、macOS、Windowsなど) をターゲットにしています。しかし、コンテナはオペレーティングシステムによって生成されたものと同じ 実行 形式を使用しない場合があるため、コンテナランタイムを活用して実行形式を生成するように Maven ビルドに指示します( このセクション の説明を参照してください)。
生成される実行ファイルは 64 ビットの Linux 実行ファイルになるので、お使いの OS によっては実行できなくなる可能性があります。しかし、コンテナにコピーするので問題ありません。プロジェクト生成では、 src/main/docker
ディレクトリに Dockerfile.native-micro
を用意し、以下のような内容にしています:
FROM quay.io/quarkus/quarkus-micro-image:1.0
WORKDIR /work/
COPY target/*-runner /work/application
RUN chmod 775 /work
EXPOSE 8080
CMD ["./application", "-Dquarkus.http.host=0.0.0.0"]
Quarkus マイクロイメージとは?
Quarkus マイクロイメージは、ネイティブアプリケーションを実行するための適切な依存関係のセットを提供する小さなコンテナイメージです。これは UBI Micro に基づいています。このベースイメージは、コンテナで完全に機能するように調整されています。 UBI イメージの詳細については、以下をご覧ください: UBI イメージは制限なく使用できます。 このページ では、アプリケーションに特定の要件がある場合に、 |
あとは、生成されたネイティブ実行可能ファイルを削除していなければ、dockerイメージを使ってビルドします:
docker build -f src/main/docker/Dockerfile.native -t quarkus-quickstart/getting-started .
そして最後に、以下を実行します:
docker run -i --rm -p 8080:8080 quarkus-quickstart/getting-started
最小限のベースイメージを手動で使用する方法
プロジェクト生成では、以下の内容の ` src/main/docker docker` ディレクトリも提供されます:
FROM registry.access.redhat.com/ubi8/ubi-minimal:8.6
WORKDIR /work/
COPY target/*-runner /work/application
RUN chmod 775 /work
EXPOSE 8080
CMD ["./application", "-Dquarkus.http.host=0.0.0.0"]
UBI の最小イメージは、上記のマイクロイメージよりも大きくなっています。これには、microdnf
パッケージマネージャーなどのユーティリティーが含まれています。
マルチステージDockerビルドの使用
前のセクションでは、Maven または Gradle を使用してネイティブ実行可能ファイルをビルドする方法を示しましたが、その場合は最初にネイティブ実行可能ファイルを作成しておく必要があります。さらに、このネイティブ実行可能ファイルは Linux64 ビットの実行可能ファイルである必要があります。
ビルドツールを含む最終的なコンテナを用意せずに、ネイティブ実行可能ファイルをコンテナに直接ビルドする必要がある場合もあるはずです。このアプローチは、マルチステージの Docker ビルドで使用可能です:
-
最初の段階では、Maven または Gradle を使用してネイティブ実行可能ファイルをビルドします
-
第 2 段階は、生成されたネイティブ実行可能ファイルをコピーする最小限のイメージです
以下のDockerファイルからコンテナイメージをビルドする前に、デフォルトの |
このような多段階を用いたビルドは、次のように実現できます:
MavenでビルドするためのサンプルDockerfileです:
## Stage 1 : build with maven builder image with native capabilities
FROM quay.io/quarkus/ubi-quarkus-native-image:22.3-java17 AS build
COPY --chown=quarkus:quarkus mvnw /code/mvnw
COPY --chown=quarkus:quarkus .mvn /code/.mvn
COPY --chown=quarkus:quarkus pom.xml /code/
USER quarkus
WORKDIR /code
RUN ./mvnw -B org.apache.maven.plugins:maven-dependency-plugin:3.1.2:go-offline
COPY src /code/src
RUN ./mvnw package -Pnative
## Stage 2 : create the docker final image
FROM quay.io/quarkus/quarkus-micro-image:1.0
WORKDIR /work/
COPY --from=build /code/target/*-runner /work/application
# set up permissions for user `1001`
RUN chmod 775 /work /work/application \
&& chown -R 1001 /work \
&& chmod -R "g+rwX" /work \
&& chown -R 1001:root /work
EXPOSE 8080
USER 1001
CMD ["./application", "-Dquarkus.http.host=0.0.0.0"]
このマルチステージ Docker ビルドは、ホストマシンから Maven ラッパーをコピーします。Maven ラッパー (または Gradle ラッパー) は、特定のバージョンの Maven/Gradle を提供するための便利な方法です。Maven と Gradle を使用してベースイメージを作成する必要がなくなります。プロジェクトで Maven ラッパーをプロビジョニングするには、mvn -N org.apache.maven.plugins:maven-wrapper-plugin:3.1.0:wrapper を使用します。
|
このファイルは、Getting started quickstartには含まれていないので、 src/main/docker/Dockerfile.multistage
に保存してください。
GradleでビルドするためのサンプルDockerfileです:
## Stage 1 : build with maven builder image with native capabilities
FROM quay.io/quarkus/ubi-quarkus-native-image:22.3-java17 AS build
COPY --chown=quarkus:quarkus mvnw /code/mvnw
COPY --chown=quarkus:quarkus .mvn /code/.mvn
COPY --chown=quarkus:quarkus pom.xml /code/
USER quarkus
WORKDIR /code
RUN ./mvnw -B org.apache.maven.plugins:maven-dependency-plugin:3.1.2:go-offline
COPY src /code/src
RUN ./mvnw package -Pnative
## Stage 2 : create the docker final image
FROM quay.io/quarkus/quarkus-micro-image:1.0
WORKDIR /work/
COPY --from=build /code/build/*-runner /work/application
RUN chmod 775 /work
EXPOSE 8080
CMD ["./application", "-Dquarkus.http.host=0.0.0.0"]
プロジェクトでGradleを使用している場合は、このサンプルDockerfileを使用することができます。 src/main/docker/Dockerfile.multistage
に保存してください。
docker build -f src/main/docker/Dockerfile.multistage -t quarkus-quickstart/getting-started .
最後に、以下を実行します:
docker run -i --rm -p 8080:8080 quarkus-quickstart/getting-started
ネイティブ実行可能ファイルにSSLサポートが必要な場合は、Dockerイメージに必要なライブラリを簡単に含めることができます。 詳しくは ネイティブ実行可能ファイルでのSSL利用ガイド を参照してください。 |
GraalVM CE の代わりに Mandrel を使用するには、 |
22.3 以降、Mandrel は |
Distroless ベースイメージの使用
Distroless イメージのサポートは実験的なものです。 |
小さなコンテナイメージを探している場合は、 distroless アプローチでベースレイヤーのサイズが縮小されます。 distroless の背後には、すべての要件 (場合によってはアプリケーション自体) を含む単一の最小限のベースイメージを使用するという考え方があります。
Quarkus は、Dockerfile
で使用できる distroless ベースイメージを提供します。ユーザーは、アプリケーションをコピーするだけです:
FROM quay.io/quarkus/quarkus-distroless-image:1.0
COPY target/*-runner /application
EXPOSE 8080
USER nonroot
CMD ["./application", "-Dquarkus.http.host=0.0.0.0"]
Quarkus は、quay.io/quarkus/quarkus-distroless-image:2.0
イメージを提供します。ネイティブ実行可能ファイルを実行するために必要なパッケージが含まれており、サイズはほんの 9Mb です。このイメージの上にアプリケーションを追加するだけで、小さなコンテナイメージを得られます。
Distroless イメージを本番環境で使用する場合は、必ず厳密なテストを実施してください。
コンテナイメージをゼロから構築する
スクラッチベースイメージのサポートは実験的なものです。 |
完全に静的にリンクされたバイナリをビルドすることで、ビルド結果のネイティブ実行ファイルのみを含む スクラッチイメージ を使用することができます。
Scratch
からイメージを構築するためのサンプルのマルチステージのDockerfileです:
## Stage 1 : build with maven builder image with native capabilities
FROM quay.io/quarkus/ubi-quarkus-graalvmce-builder-image:22.3-java17 AS build
USER root
RUN microdnf install make gcc
COPY --chown=quarkus:quarkus mvnw /code/mvnw
COPY --chown=quarkus:quarkus .mvn /code/.mvn
COPY --chown=quarkus:quarkus pom.xml /code/
RUN mkdir /musl && \
curl -L -o musl.tar.gz https://more.musl.cc/11.2.1/x86_64-linux-musl/x86_64-linux-musl-native.tgz && \
tar -xvzf musl.tar.gz -C /musl --strip-components 1 && \
curl -L -o zlib.tar.gz https://www.zlib.net/zlib-1.2.13.tar.gz && \
mkdir zlib && tar -xvzf zlib.tar.gz -C zlib --strip-components 1 && \
cd zlib && ./configure --static --prefix=/musl && \
make && make install && \
cd .. && rm -rf zlib && rm -f zlib.tar.gz && rm -f musl.tar.gz
ENV PATH="/musl/bin:${PATH}"
USER quarkus
WORKDIR /code
RUN ./mvnw -B org.apache.maven.plugins:maven-dependency-plugin:3.1.2:go-offline
COPY src /code/src
RUN ./mvnw package -Pnative -DskipTests -Dquarkus.native.additional-build-args="--static","--libc=musl"
## Stage 2 : create the docker final image
FROM quay.io/quarkus/quarkus-micro-image:1.0
WORKDIR /work/
COPY --from=build /code/target/*-runner /work/application
スクラッチイメージを本番環境で使用する場合は、必ず厳密なテストを実施してください。
ネイティブイメージの実行ファイルの要件に合わせて、muslとzlibのバージョンを更新する必要があるかもしれません(ネイティブイメージ圧縮を使用する場合はUPXも)。 |
ネイティブイメージの圧縮
Quarkus は、UPX を使用して生成されたネイティブ実行可能ファイルを圧縮できます。詳細については、UPX 圧縮のドキュメント を参照してください。
Java とネイティブイメージのコンパイルの分離
特定の状況では、別のステップでネイティブイメージをビルドする必要がある場合もあります。たとえば、CI/CD パイプラインで、ネイティブイメージの生成に使用するソースを生成するステップと、これらのソースを使用して実際にネイティブ実行可能ファイルをビルドするステップを分けたい場合などです。このようなユースケースでは、quarkus.package.type=native-sources
を設定できます。そうすることで、ネイティブコンパイル (-Pnative
) を開始するように Java コンパイルを実行できますが、GraalVM の native-image
の実際の呼び出しをトリガーする前に停止します。
$ ./mvnw clean package -Dquarkus.package.type=native-sources
コンパイルが完了すると、ビルドアーティファクトが target/native-sources
に表示されます:
$ cd target/native-sources
$ ls
native-image.args getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner.jar lib
上記の出力から、生成された jar ファイルと関連する lib ディレクトリに加えて、native-image.args
という名前のテキストファイルが作成されたことがわかります。このファイルは、GraalVM の native-image
コマンドに渡すすべてのパラメーター (コンパイルする JAR の名前を含む) を保持します。GraalVM がインストールされている場合は、以下を実行してネイティブコンパイルを開始できます:
$ cd target/native-source
$ native-image $(cat native-image.args)
...
$ ls
native-image.args
getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner
getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner.build_artifacts.txt
getting-started-1.0.0-SNAPSHOT-runner.jar
Gradle のプロセスも同様です。
コンテナでビルドプロセスを実行することも可能です:
cd target/native-image
docker run \
-it \
--rm \
--v $(pwd):/work (1)
-w /work (2)
--entrypoint bin/sh \
quay.io/quarkus/ubi-quarkus-native-image:22.3-java17 \ (3)
-c "native-image $(cat native-image.args) -J-Xmx4g" (4)
1 | ホストのディレクトリ target/native-image をコンテナの /work にマウントします。したがって、生成されたバイナリーもこのディレクトリに書き込まれます。 |
2 | 作業ディレクトリを、<1> でマウントした /work に切り替えます。 |
3 | マルチステージDockerビルドの使用 で紹介された quay.io/quarkus/ubi-quarkus-graalvmce-builder-image:22.3-java17 docker イメージを使用して、ネイティブイメージをビルドします。 |
4 | ファイル native-image.args の内容を引数として native-image を呼び出します。また、プロセスの最大メモリーを 4 ギガバイトに制限するための追加の引数も提供します (これは、ビルドするプロジェクトとそれをビルドしているマシンにより異なります)。 |
Windows マシンで実行している場合は、バイナリーが Linux docker コンテナ内で作成されていることに注意してください。つまり、バイナリーはホスト Windows マシンでは実行できません。 |
CI/CD パイプラインのさまざまなステップがどのように見えるかについて、以下に概要を示しています。
-
./mvnw …
コマンドを実行するステップの出力 (つまり、ディレクトリtarget/native-image
) をビルドアーティファクトとして登録します。 -
native-image …
コマンドを実行するステップでこのアーティファクトを要求し、 -
native-image …
コマンドを実行するステップの出力 (つまり、target/*runner
に一致するファイル) をビルドアーティファクトとして登録します。
ステップ 1
を実行する環境には、Java と Maven (または Gradle) のみインストールされている必要がありますが、ステップ ` 3` を実行する環境には GraalVM のインストール (native-image
機能を含む) のみが必要です。
CI/CD パイプラインの最終的な出力に応じて、生成されたバイナリーがコンテナイメージの作成に使用されます。
ネイティブ実行可能ファイルのデバッグ
Oracle GraalVM 20.2 または Mandrel 20.1 から、Linux 環境用にネイティブ実行可能ファイルのデバッグシンボルを生成できるようになりました (Windowsのサポートは開発中、macOSはサポート対象外)。これらのシンボルは、gdb
のようなツールを使用してネイティブ実行可能ファイルをデバッグするために使用できます。
デバッグシンボルを生成するには、ネイティブ実行可能ファイルの生成時に -Dquarkus.native.debug.enabled=true
フラグを追加してください。ネイティブ実行可能ファイルのデバッグシンボルは、ネイティブ実行可能ファイルの隣にある .debug
ファイルにあります。
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デバッグシンボルとは別に、 -Dquarkus.native.debug.enabled=true
フラグを設定すると、ネイティブ実行可能ファイル生成時に解決された JDK ランタイムクラス、GraalVM クラス、アプリケーションクラスのソースファイルのキャッシュが生成されます。このソースキャッシュは、シンボルと一致するソースコード間のリンクを確立するために、ネイティブデバッグツールにとって有用です。ネイティブ実行可能ファイルをデバッグする際に、必要なソースだけをデバッガー/IDEが利用できるようにする便利な方法を提供します。
Quarkusのソースコードを含むサードパーティのjar依存関係のソースは、デフォルトではソースキャッシュに追加されません。これらを含めるには、まず mvn dependency:sources
を起動してください。このステップは、これらの依存関係のソースを引き出し、ソースキャッシュに含めるために必要です。
ソースキャッシュは target/sources
フォルダーにあります。
または、
例えば、
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ネイティブイメージのデバッグに関する詳細なガイドについては、ネイティブリファレンスガイド を参照してください。
ネイティブ実行可能ファイルの設定
ネイティブ実行可能ファイルの生成方法に影響を与える設定オプションがたくさんあります。これらは他の設定プロパティーと同じように application.properties
で提供されています。
プロパティーは以下の通りです:
ビルド時に固定される設定プロパティ - その他の設定プロパティはランタイムでオーバーライド可能です。
型 |
デフォルト |
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---|---|---|
Comma-separated, additional arguments to pass to the build process. If an argument includes the Environment variable: |
list of string |
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If the HTTP url handler should be enabled, allowing you to do URL.openConnection() for HTTP URLs Environment variable: |
boolean |
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If the HTTPS url handler should be enabled, allowing you to do URL.openConnection() for HTTPS URLs Environment variable: |
boolean |
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The default value for java.awt.headless JVM option. Switching this option affects linking of awt libraries. Environment variable: |
boolean |
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Defines the file encoding as in Environment variable: |
string |
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If all character sets should be added to the native image. This increases image size Environment variable: |
boolean |
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The location of the Graal distribution Environment variable: |
string |
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The location of the JDK Environment variable: |
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The maximum Java heap to be used during the native image generation Environment variable: |
string |
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If the native image build should wait for a debugger to be attached before running. This is an advanced option and is generally only intended for those familiar with GraalVM internals Environment variable: |
boolean |
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If the debug port should be published when building with docker and debug-build-process is true Environment variable: |
boolean |
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If isolates should be enabled Environment variable: |
boolean |
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If a JVM based 'fallback image' should be created if native image fails. This is not recommended, as this is functionally the same as just running the application in a JVM Environment variable: |
boolean |
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If all META-INF/services entries should be automatically registered Environment variable: |
boolean |
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If the bytecode of all proxies should be dumped for inspection Environment variable: |
boolean |
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If this build should be done using a container runtime. Unless container-runtime is also set, docker will be used by default. If docker is not available or is an alias to podman, podman will be used instead as the default. Environment variable: |
boolean |
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If this build is done using a remote docker daemon. Environment variable: |
boolean |
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The docker image to use to do the image build. It can be one of Environment variable: |
string |
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The container runtime (e.g. docker) that is used to do an image based build. If this is set then a container build is always done. Environment variable: |
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Options to pass to the container runtime Environment variable: |
list of string |
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Enable monitoring options that allow the VM to be inspected at run time. Environment variable: |
list of MonitoringOption |
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If full stack traces are enabled in the resulting image Environment variable: |
boolean |
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If the reports on call paths and included packages/classes/methods should be generated Environment variable: |
boolean |
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If exceptions should be reported with a full stack trace Environment variable: |
boolean |
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If errors should be reported at runtime. This is a more relaxed setting, however it is not recommended as it means your application may fail at runtime if an unsupported feature is used by accident. Environment variable: |
boolean |
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Don’t build a native image if it already exists. This is useful if you have already built an image and you want to use Quarkus to deploy it somewhere. Note that this is not able to detect if the existing image is outdated, if you have modified source or config and want a new image you must not use this flag. Environment variable: |
boolean |
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A comma separated list of globs to match resource paths that should be added to the native image.
Use slash ( Environment variable: |
list of string |
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A comma separated list of globs to match resource paths that should not be added to the native image.
Use slash ( Environment variable: |
list of string |
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If debug is enabled and debug symbols are generated. The symbols will be generated in a separate .debug file. Environment variable: |
boolean |
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Generate the report files for GraalVM Dashboard. Environment variable: |
boolean |
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The compression level in [1, 10]. 10 means best Higher compression level requires more time to compress the executable. Environment variable: |
int |
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Allows passing extra arguments to the UPX command line (like --brute). The arguments are comma-separated. The exhaustive list of parameters can be found in https://github.com/upx/upx/blob/devel/doc/upx.pod. Environment variable: |
list of string |
次のステップ
このガイドでは、アプリケーション用のネイティブ(バイナリー)実行ファイルの作成について説明しました。これにより、迅速な起動時間と少ないメモリー消費を示すアプリケーションを提供します。しかし、それだけではありません。
Kubernetes と OpenShift へのデプロイメント で探検を続けることをお勧めします。